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編集長と永瀬君に事細かに説明しても、怖がりの俺の妄想でそう見えたんだと、日本人形が映ってる携帯の画面を見ながら、ほら、何も起こらないでしょ?と画面をガン見して見せる永瀬君。
だけど…あの携帯の画面が目に焼き付いて離れない。何度も言うが俺は怖がりなんだ!
「まあ、どっちにしろ取材に行ってもらうから。」
「お、鬼!編集長の鬼!俺は嫌ですからね。」
「先生、駄々っ子じゃないんですから。僕と一緒に行きますよ。」
他の取材から帰ってきた同僚がお土産物にロールケーキをくれた。ちょっと一息つこうとみんなでコーヒーを飲む。
「先生、休憩は少しだけですからね。僕はジュースを買ってきますから。編集長、ちょっといいですか?」
俺にそう言って、永瀬君は編集長と出ていった。
「編集長、焦りましたね。どうしますか?」
「ああ。永瀬、お前は優秀だねぇ。やっぱり、わかったか?」
「はい。先生は怖がりですからね。あそこで信じるなんて言ったら、大変な事になりますから。」
「たぶん、画像に変化があったのは本当だろう。松田は嘘はつけないからな。嘘をつくとバレバレなんだよ。
曰く付きか…ヤバそうか?」
「わかりません。取材、どうしますか?実際に行ってみないとわかりませんが危なそうなら手を引きます。」
「まったく。頼りになるねぇ永瀬は。松田のことは頼んだよ。」
「はい。先生のことは任せてください。全力で守りますから!」
「ぷっ。相変わらず凄い崇拝っぷりだねぇ。」
「何、言ってるんですか!先生は凄い人なんですからね!」
「はいはい。わかったよ。よろしく頼んだよ。」
俺は編集長と永瀬君が、こんな密談をしているとは露知らず呑気にロールケーキを頬張っていた。
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