第1章

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休憩を終えてまた永瀬君が資料の説明を始めた。 「先生、いいですか?ちゃんと聞いててくださいよ。 安呪寺と文字を見ると何だか、物騒な感じがしますよね。《呪い》という漢字が入っているから。 でも全然、そんな事はないんです。呪というのは、自分の災いを取り除く為に神仏に願うという意味で、このお寺も誰もが心が落ち着いて穏やかな日々を送れるよう神仏に願うという、いい意味の名前なんです。 場所なんですが、〇〇県ですが△△県との県境で、ちょっと、辺鄙な所です。バスが1日に3本でしたか、まあ、空気は美味しいと思いますよ。」 「永瀬君、俺は嫌だからね。」 「先生、まだ言いますか。往生際の悪い。いつも結局、行くでしょ?」 「ぷっ。松田、永瀬には敵わないな。折れろ。」 結局、俺は永瀬君と、その辺鄙な所に取材に行く事になった。 普段、都心から離れない俺は、まんまと言いくるめられ、自然に触れて心に栄養を補給するという、永瀬君の妙な説得に頷いてしまったのだ…。 来週末に一泊で行く事になった。それまで、出来るだけ菊野様やお寺に付いて調べる事になった。 ひとつのお寺に、ひとつの物語。ロマンですねぇと言ったかと思えば、悲しい物語は嫌だなぁ…怖い物語も嫌だなぁと永瀬君がブツブツ言っている。 菊野様に付いて、詳しく説明が載っていない事に違和感を覚えた。 「ちょっと、永瀬君。菊野様に付いて、どうやって調べたの?」 「はい。実はあまり詳しく載ってなかったんですよね。人形を見つけたのが先なんです。人形から持ち主がわかって、からの、安呪寺です。」 「あ~そうか。すごいね。永瀬君。じゃあ、人形で調べた方が出てくるかな。」 あまり充分な情報もないまま、取材の日を迎えた。 「じゃあ、編集長、行ってきます。」 「ああ。気を付けてな。永瀬、頼んだよ。」 「はい。お任せください。行ってきます。」 「ムッ…お任せくださいって、なんだよ!」 「先生~行きますよ。」
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