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不覚にも永瀬君の腕を掴み固まってしまった。
「先生、先生!大丈夫ですか?」
「コホンッ… あー、大丈夫だ。」
平然を装ってみたものの…全然、大丈夫ではないのは、永瀬君にはバレバレで。
「先生、戻りま…あっ、先生!先生!あれっ!」
「何だよ。永瀬君!驚かさないでくれ!」
「すみません。違いますよ。ほら、あそこ。」
あっ、いた。人がいた!良かった!幽霊とかではないんだな。はぁ~良かった!
「永瀬君…いるね。人がいるね。」
「あ~。実は僕もビックリしたんですよ。良かった!戻ろうと思いましたけど、大丈夫みたいですね。行きますよ、先生。」
「永瀬君、何か…行きたくないなぁ。」
「写真も撮らないといけないんですから、さっと行って、さっと帰りますよ。」
「はぁ~。」
石段が見えた。もうすぐ安呪寺の入り口という所で、さっきの人だろうか、杖をついて立っている老人がこちらを見ている。
「お前さん方は、何処から来なすった?」
俺達に話しかけてきた。
「こんにちは。僕達は東京から来ました。」
「この先に行くのかい?」
「あ…はい。安呪寺に行くんです。」
「悪いことは言わない。止めときなされ。」
「………」
えっ-!!おじいさん!どうしてそんな事を言うんですか!!永瀬君…帰ろうよ、と思っていたら永瀬君が、おじいさんに話しかけた。
「あの、どうしてですか?理由をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
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