カルス

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想定外の鮮烈な結末だって すべて繋がっていく 望まない未来だとしても ひび割れた試験管の 冷たい底で この(すす)けた心、培養して 「ツクラレタ存在」だった 優しい瞳さえ いつかこの手で屠殺(とさつ)するの 出逢わなければ、なんて 引き裂かれそうな声は 絞め殺シテ 想定内の残酷な結末だった すべては定められていた 望まない未来だとしても あなたのいない灰色の世界はきっと 涙さえ(うしな)っても だけどこの足で踏み荒らしていく世界だ くぐもったガラス張りの 死んだ部屋で 最期の睦詞(むつごと)、反芻したの 生まれ変わったら、なんて 絵空事にすがる程に 焦がれた罰 想定外の鮮烈な結末だって すべて繋がっていく 望まない未来へと強く あなたを殺すこの身は擦りきれて 汚れきったとしても だけど笑って赦してくれるという あなたを本当は愛しているの いつかもう一度 閉じたガラスの向こうで 逢えたなら そんな叶わない祈りを 再分化するように織り混ぜて 想定内の残酷な結末なんて 嘘であって欲しいのに 望まない、遺されることなんて 道徳観をもぎ取った世界から あなたを想い続ける 望まない、赦されることなんて あなたのいない灰色の世界はきっと 冒涜への罰だ だけどこの足で進むしかない現実だ ガラス管のカルスが無情に溶けた
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