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誰にも言ってないことがひとつあるんだ
土に埋めて灰に枯れるまで
喉を離れることがないように
大事なものは
誰だって見つからないようにしておくけど
どこに隠したか忘れるようでは
死んでも死にきれないでしょう
言葉のあやを重ねて取った
ひとり
螺旋階段を行く
上り下りもないままに
それが言質をとったとして
遠ざかる電子音に僕は
何か願えたのかなぁ
なんて、戻れもしない癖に
僕は、僕は、僕は。
誰にも言ってないことがひとつあるんだ
なんて嘘だよ、ほんとうは
いくつもの秘密を束に飾ったら
泣いても泣き足りないよね
善を成すのを美学と言えば
明日は
ほどけてしまうのか
前も後ろもないうちに
握った糸が切れなかったとして
温度を忘れていく赤を
恩赦と差し出していたら
今更、やり直せない癖に
僕は、僕は、僕は。
それが偽善であったとして
遠ざかる君の目に僕は
何か遺せたのかなぁ
今も、離れないままで
僕は、僕は、僕は…
情けないほど踏み出せないんだ
二度と、戻れもしない癖に
君は、君は、君は。
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