異端の者より。

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まわりと違っていることが、 理もなくただ当たり前で、誇りでさえあった頃、 いつも私は幸せだった。 息苦しさの理由を突き詰めることもなく、 ただ愛されていた。 まわりと違っていることが、 理に外れていると気づいた時から、 それは私の罪になった。 愛されている。 でも愛していない。 どうにもならないその後ろめたさが、 私を光から遠ざけた。 一番好きなものは、自分、 一番嫌いなものも、自分。 自分にとって特別なのは、ただ一人、自分だけ。 自分以外は 肉親も友人も他人も見知らぬ人も、 その重さに何の違いもない私。 それが、私。 偽らぬ、私。 この世界が私に何をどんなに与えてくれても、 私が返せるものは何もない。 誰が掛け値なしの「心」をくれても、 私の「心」はいつも、自分だけを見ている。 そうして私は、世界を閉じた。 そんな私がここに在ることを赦してくれる、 すべての大切なあなたへ。 ただ一人の大切な、我が儘な私から。 あなたが笑ってくれるから。 あなたが泣いてくれるから。 だから私はここにいます。 理を無視した私でも、いてもいいのだと思えます。 私と世界を繋いでくれて、 ありがとう。 在ることに意味をくれて、ありがとう。 image=497695258.jpg
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