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10月某日
帝都独身寮
堀江は荷物を纏め終え寮を出る所だった。
「やぁ、堀江くん、君も寮を出るのかい?」
声を掛けたのは同い年のチームメート松丸弘和だった。
「あぁ、松丸くんも?」
「おかげさまで念願の高層マンション暮らしさ!!」
松丸弘一大卒プロ2年目の守護神、今シーズン大活躍のエリート。
「良いなー、僕はいったん実家に帰るよ」
「そうなのか、聞いたよ、戦力外だって」
「・・・うん」
「大変だね、進退どうするの?」
「うーん、野球は続けたい」
「そうか、まぁ、社会人野球や独立リーグなら拾い手がいるんじゃない?腐らず頑張りな」
「あぁ、ありがとう・・・」
立ち去ろうとしたその時堀江のケータイが鳴った。
「もしもし、あっ、江島さん」
江「おー、堀江か戦力外、残念だったな」
「あっ、はい。」
「今後、進路どうするんだ?」
「まだ、野球やりたいです。その、プロで・・・」
江「そうか、トライアウトは受けるのか?」
「はい。受ける予定です。」
「やめとけ、お前はトライアウト受けるな向いてない」
「えっ、そんな・・・」
江「お前はトライアウトで活躍しそうにない、目に見えてる」
「・・・・」
江「だから、広島に来い!」
「はい?」
江「来週、お前をテストする場所はマツダスタジアムだ。以上。」
電話を切られた堀江はただ驚くばかりだった。
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