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「夢と自由は、似ているけれど別物であったわ」
真白なコンクリートの上から、どこからともなく響く声
「平行線とまではいかなかったけれど」
真白な服で真白な髪で真白な肌の少女の、独り言
「十文字、くらいのものじゃないかしら」
黒い目と赤い口だけが白の中で蠢いて
「慣れ得たら忘れてしまう点だけが一緒」
黒い目から黒い文字が零れて
赤い口から赤い文字が滴った
それは真白い少女の顔を肌を髪を服を赤黒く這いずり回り
消えていく言葉はいつしかその空間をも、塗り潰していくのであった
でも大丈夫
消え忘れていくものだから溺れない
全て消え忘れていくものなのに
全て消え忘れたくないと思うのは
どうしてなのだろう
「だから何かしら人は作りたがるのだわ」
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