STAND UP

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『…あれ』 なんか違う。 学校の帰り道、いつも通り通学路を歩いていたら、ふとそんな違和感を覚えた。 何かが__何かが決定的におかしい。 なんだ。なにがおかしい。 一度足を止め、違和感の正体を探る。 その違和感は、例えば空が青じゃなくてピンク色になっているだとか、地中からモモンガが飛び出てきたりするような、そんな常識外れな違和感。 元々自分が知っている世界とは、180度違うような__そんな感覚。 自分の右手にある公園内に目を向けると、ベンチには小学生くらいの男の子たちが見覚えのあるカードを手に騒いでいる。 あれは…… 『ヴァンガード?』 そう、ヴァンガード。だった。 アニメもやってるし、わりかし有名なのかなぁ…なんてぼんやり結論付け、違和感の謎が解けないままふたたび歩き出す。 ヴァンガードかぁ…アニメ観てたけど、主人公変わってからぱったり観なくなったなぁ~。 ほら、やっぱり天使なアイチきゅんが出てこないとなると、観る気も無くなるというか、ね。 『……』 __やっぱおかしい!! バッと振り向いて、自分が通ってきた道を振り返る。 すると、ようやく違和感の謎が解けた。 全員…全員だ。 この視界中にいる人たち全員、手にヴァンガードのカードを持っているのだ。 え。何これ。 こんなに身近でヴァンガード流行ってたっけ…? そして、もうひとつ違和感に気付いた。 自分の目線が、やたらと低く感じるのだ。 道行く大人の人も、大きく見えるし、通りの自動販売機も巨大に感じる。 まさか、身の回りのものが大型化しちゃってるの? 『ん?』 左に顔を向けると目の前には、不思議そうな顔でこちらを見つめる小学生くらいの女の子の姿。 その背中には、赤いランドセルが背負われている。 迷子かな?高校生の自分に何か助けを求めてきたのかもしれないと思ったのも束の間。 『……!』 その女の子は、ショーウインドウに写った自分なのだと気付いた。
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