さいごの再会

7/8
前へ
/8ページ
次へ
涙でぐしゃぐしゃの顔で、僕は携帯を見る。 ―――――――――――――――――――――  憲斗へ   理沙です。元気かな?   理沙は、実は重い病気でした。   珍しい病気らしくて、病院のある東京に引っ越しました。   このメールはね、日時指定で、送るようにしてたの。   だから、これの送信を中止しなかったってことは、   理沙は、たぶん死んじゃったってことです。   言わなくてゴメン。言えなくてゴメン。   夢を邪魔したくないとか、嫌われたくないとか、   色んな理由で気付けば、こんなに時間が経ってた。   憲斗と幸せになれなくて、ゴメンね。   夢も大切だけど、自分の幸せってのも、   しっかり叶えろよっ。絶対だぞ!   死んだって…、みんな仲間だし…。   たかが60年なんてどの道すぐに終わるから、笑って生きてね。   いつも大好きだったよ。  理沙より ――――――――――――――――――――― 「は、はは…、夢って、 僕は…、理沙のために…、理沙が望んでたことだから、 頑張ってた夢だよ…。バカ……」 さっきの理沙から貰ったお餅の袋が、手に触れる。 紙を開けると、中には小さな紙と指輪が入っていた。 小さな紙には、何か書いてあった。 ―――――――――――――――――――――   天使さんが来て、1つだけ小さな願いを   叶えてくれるって言ったから、   手紙と指輪を渡しに行くことを選びました。   小学生の時に、憲斗にもらった指輪、   東京ではお守り代わりに付けてた。   幸せだったよ。憲斗がいつも頑張ってたから。 ――――――――――――――――――――― 風が吹いて、気付けばお餅の紙も、小さな紙も消えていた。 指輪を握りしめていた手を、僕は恐る恐る開く。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加