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「もじゃもじゃ、もじゃもじゃ、もじゃもじゃ」
「シーノのあたまは、もーじゃもじゃ」
男の子が三人取り囲んで、真ん中でしゃがんだ子の髪を引っ張っている。
しゃがんでいる子は、かなりの癖っ毛で明るい色の髪をしていた。
「やめて」
髪を庇うように頭を抱え込む。
「うるせーよ、もじゃもじゃシノ」
一番体格のいい子が癖っ毛の子、シノの肩を強く突いた。
小柄なシノはバランスを崩して、尻もちをついてしまった。
「もじゃもじゃ、じゃないよ。てんねんぱーま!ままがおしえてくれたんだから」
両手をついて立ち上がろうとしたところを、髪をわしづかみにされた。
「もじゃもじゃは、もじゃもじゃだろ」
「いたいっ」
髪をつかまれた子は、涙ぐんでいる。
「なにやってんだよ」
ふりむくと色黒の背の高い男の子が怒りに満ちた表情で立っていた。
「シノ、いやがってるじゃん」
からまれていた子の顔が、パッと輝いた。
「ミキちゃん!」
ミキちゃんと呼ばれた少年が輪の中に割って入り、シノの腕をひっぱり立ちあがらせた。
「よわいものいじめ、してんじゃねーよ」
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