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ある日の放課後、僕は吸い寄せられるかのように、いつの間にか、件の隙間の前まで来ていた。
真正面に立つと、真っ暗な闇が奥へと続いており、その先は、この世とは違う世界が広がっているのではないかと、錯覚を起こさせる。
まぁ、実際に校舎裏に行って確認をしてみれば、こちらと同じように、隙間がぽっかりと口を開けて待っているだけなのだが、その時の僕には、目の前にある先の見えない細い『魔の入口』は、「ほら、覗いてごらんよ」と誘っているようにしか見えなかった。
左手は新校舎、右手は旧校舎に掌をつけて、徐々に顔を近づける。
右目で隙間を覗くように、新校舎と旧校舎の壁にゆっくりと顔を押し付けると、その暗い隙間から何かが飛び出した。
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