隙間

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 でも、うちの学校はそれらをせず、旧校舎の数センチ横に新校舎を建てた。  勿論、中で繋がっている訳ではないから、新校舎から旧校舎へ、旧校舎から新校舎に行くには、一旦、外に出なくてはならない。  だからこそ、余計に気になる。  たった数センチの僅かな隙間が。  僕の性格は基本、大雑把で、来る者拒まず去る者追わずな、執着心の欠片もない。  それなのに、この隙間だけはやけに気になる。  その気持ちは、日々、次第に膨れ上がり、授業中も友人と遊んでいる最中も、隙間が頭を過り、終いには夢にまで現れるようになった。  ここまで僕が一つのことに執着するなんてことは、未だかつてない。  気になれば……見るしかない。  人間というのは、一度湧き上がった欲求には勝てないものだ。
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