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今からおおよそ15年前。
俺は家族写真をと両親に連れられて行った先で、こいつと出逢った。
藤吉写真館。
奴と違って好々爺然とした奴のおじいちゃんが営んでいた商店街の一角にある店だった。
両親と俺と妹のまりえ。
毎年写真をこの日に取るのを恒例行事にしましょう、と。なんらかのホームドラマに影響を受けたらしい母親の一言で、俺はあの町を出るまで、ずっと毎年その日に藤吉写真館に足を運んでいた。
実家から自転車で10分もかからないとこにあるその店の空気感が好きで、それ以外の何の用事がないときも、足を運んだりしちゃっていたのだ。
双子の兄である俺から見ても、ちょっとびっくりするくらい美少女だったまりえは、そりゃもう生まれた時からちやほやされていた。
ご近所中からちやほやちやほや。息をするくらい自然にちやほや。むしろあいつを取り囲む空気がちやほや。
なんだそれ羨ましい、寄越せ、ちょっとくらい、俺に。
ど喚いたところで一瞬しか俺に構ってもらえないので、とどのつまり俺はこのころプチ家出をかましていたのである。
あろうことか藤吉写真館に。
別にそこに行ったからといって構ってもらえたわけではないのだけども、藤吉も気が向いたら遊んでくれたし、店の雰囲気自体がチビの隠れ家にはもってこいでとても好きだったのだ。
その店に藤吉がいたのはただのオプションだ、あくまでも。
……だったはずなのに。
それがまさかこんなことになるとはな。
なんやかんやで10年以上の付き合いとなってしまっているいけ好かない男が、マンションのエントランスキーを開錠しながら、ふと口を開いた。
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