【夜勤帰りのイタズラ】

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タクシーは、心太を乗せて走りだした。 「お客さん…知ってます?最近、夜中の4時5時になると、この先のバス停に幽霊が出るって噂」 と、しばらく走った後、運転手が突然、心太に変な事を言ってきた。 「え?そうなんですか?」 「ええ。私は、見た事無いですがね」 思わず… 心太は、内心ニヤリとしてしまった。 恐らく… その『幽霊の正体』は… 心太が以前やった『バス停のイタズラ』に違いない…。 彼は、その事を言いたいのを懸命にガマンした。 「あ…ちょうど、あのバス停ですよ」 運転手に言われて何気なく窓の外の風景を見た心太は… 愕然とした!! 「うわっ!」 「お客さん!何か見えました?私には…何も…」 「いえ…俺も何も見てないっす…」 心太は… 全身にびっしょり汗をかいていた…。 実は… 心太は、見たのだ…。 あのバス停に不気味に立つ… 一体の人影を…。 運転手には、見えなかった様だが…。 「あ、あれは…芥川社長………」 と、その時… 心太は、さっきの飲み会で…帰り際、C子がこう言ってた事を思い出した…。 「やだ…みんな、知らないの?社長…会社が潰れて自殺したんだってよ…」 そして… 更に心太は… 生前、芥川社長が言っていた… あの言葉を思い出していた。 「心太君、頼むよぉ。 君が忙しい時は、僕が『代打』やってあげるからさぁ…」 まさか… 社長… 俺の… 『イタズラ』の… 『代打』で…… あのバス停に………?? あの時を思い返すと… 心太は… 今でも背筋に 何か冷たい物が走るような気がするのだった………。 ~END~
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