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「国王陛下、申し上げたい事がございます」
若い男が言った。赤い絨毯に肩膝を付き、見上げるような姿勢をとった。
「なんだ」
国王と呼ばれた男は、白い髭を弄りながら紅茶を飲んだ。
「害悪魔術を扱う魔女集団が、東の森に潜んでいるとの情報が得られました。本日、サバトが行われるようです。取り押さえて、裁判にかけましょう」
国王は、若い男を見下げた。長く伸びた髭を指でくるくると回している。
「ぶっちゃけ、魔女裁判って意味ないと思うんだよね。妖術を使える有能な人材をとっ捕まえて、異端だー、とかいいながら殺しちゃってさ。それなら、殺す前に俺に伝授してよ、って感じ」
その言葉を聞き、若い男は呆気にとられた表情を作った。
「そ、その。陛下は本気でそのような事をお考えですか」
男は勢い余って、立ち上がってしまった。その様子を見て危険だと思ったか、壁際に配置されていた騎士が若い男に詰め寄り、羽交い締めにした。
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