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体育祭当日の朝。
生徒たちが各教室でホームルームを行っている最中、ひっそりと特別棟の一室に集まる制服姿があった。
談話室には、隊長3名とその幹部が膝を突き合わせている。
「僕の隊員は賛同者があまりいなかったよ。やっぱ、1年生が多いからかな」
「うちは殆どオッケーだったよ」
「こっちは、まあまあ」
隊長たちの報告のあと、各幹部が名簿を配る。
右上には赤い文字で「極秘」の文字が記されている。
「――これだけ集まれば、十分だよね」
「上手くいくかなぁ」
「うちらが弱気になって、どうすんの。隊員はうちらを信じてくれてんだよ?」
「大丈夫ですよ、別に誰に危害を加えるでもないんですから」
不安げな様子を見せるも互いを励まし、奮い立たせる。
親衛隊の中でも温厚派と呼ばれる彼らは、余程の事がない限り制裁のほか何かトラブルを起こすこともない。
それ故に、彼らの緊張は最高潮に達していた。
「……きっと、風紀さまも分かって下さる」
その言葉に、他の幹部たちは静かに頷いた。
「晴れて良かったなー」
グラウンドへ移動しながら、俺は五月晴れの空を見上げた。
雲ひとつない今日は、雨の心配もないだろう。
しかし、いつもなら何かしら相づちを入れる隣が、今日は随分と静かだった。
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