体育祭の王道なワケ

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「内容が分かんねーんじゃ、仕方ないけど……斎藤に迷惑かけんなよ?」 「お前じゃあるまいし」 「どういう意味だコラ」 生徒会競技は各クラス2人ずつ選出され、ペアでの競技となるそうだ。 それは毎年恒例なので、内部生なら周知の事実らしい。 俺たちのクラスからは、将輝と斎藤が出場することになったのだが、ゴーイング・マイ・ウェイ野郎が勝手なことをしないか心配だ。 競技内容が面倒臭いと感じたら、全て斎藤に任せるのではないか、と俺は踏んでいる。 「……そういや斎藤は?」 「さあ。便所じゃね」 俺たちが教室を出たのは、最後の方だったと思うのだが斎藤の姿はクラス席の方にも、来た道にも見付けられない。 クラスメートは、斎藤と管弦楽部以外は全員揃っているように見える。 「そうかもな」 まだ、開会には時間がある。 揃っていると言っても、隣のクラスの友人と雑談する生徒もいるし、この場にいなくても何ら不自然な話ではない。 それ以上、気にすることでもないので、俺は将輝と空いている席に座ろうとしたのだが、あるものに気が付いて動きを止めた。 「……神相賀(かみおうが)、何してんだ?」 「っ! ――別に、何でも良いだろ」 整列する椅子の後ろに立ったまま、神相賀は一向に座る気配を見せないのだ。 しかし、かといって何かをしている風でも無い。 首を傾げる俺の横で、将輝が笑いを堪えていた。
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