体育祭の王道なワケ

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「……決まりだな」 「――おい」  答えられずにいる俺に、将輝が見切りをつけたとき、後方から声がした。 「それ、俺が出てやる」 そう言って輪の中に入ってきたのは、今まで座って知らん顔をしていた神相賀(かみおうが)だった。 「……そ」  突然立候補した神相賀に、疑いの眼差しを向ける将輝だが、特に拒否する理由もないのかあっさりと受け入れた。 「目立つけど」 「関係ねぇだろ、んなこと」 「じゃ、行くぞ」 淡々と話はまとまり、2人はスタンバイの為に集合場所へさっさと行ってしまう。 あまりの展開の早さに、俺も含め残されたクラスメートは、ただその背中を送り出すことしか出来なかっま。  しかし、神相賀は確かに運動能力も高かった筈だ。 俺が出るより遥かに期待できる。 おまけに神相賀もファンクラブを持つ為、将輝と出場してもその後のトラブルは無いだろう。  出場者が決まりホッとする傍ら、肝心の斎藤の安否に不安が残る。 「央司の言う通りだったかもな……」 昼の自分の態度を反省しつつ、グラウンド内を確認する。 それでも、やはり斎藤の姿は見付けられなかった。  一体、どこへ行ってしまったのだろうか。
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