王道の王道なワケ

序章

受験要項を見て、初めに驚愕したのは学費その他を含む１年間の費用だ。

　明らかに、一般家庭を対象としていない。

学費自体は桁外れな額ではないのだが、運営費や維持費、学生証発行料等々が単位を間違えたのかと思う金額設定なのだ。

一瞬、その場で要項を破り捨ててやりたかったが、そのページにしわを付けるだけに留まった俺を誰か褒めてほしい。

というのも、この常識外れな学園には一般ピープルの救済措置として、特待生制度が存在する。
それを利用して入学しようという魂胆で、わざわざ資料請求をしたのだ。

一時の感情に任せて、大事な情報を失うのはアホらしい。

あの時の自制があったからこそ、こうして俺は他の一般高校よりも少額で進学することができた。