偽り

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・・・・・・・・・・・・それからは毎日が地獄だった。 公式には死んだことになっている俺達は番号で管理され、認可の下りていない新薬の実験台や人間の肉体的、精神的強度を確かめるために様々な条件下で生活することを強いられた。 身体に痛みがない時間はまるで無く、食事や睡眠は実験内容によって与えられたり奪われたりした。 そんな日々に最初は発狂するものが後を絶たなかったが、何度も消音器を付けた銃で不良品として処理されていくのをみて徐々に減っていった。 ・・・・・・だが、それがせめてもの慈悲だったと知ったのは、日にちの感覚が失われてしばらく経ってからだった。 日増しにキツくなる実験内容に、一部のメンバーが脱走を計画した。 まだなんとか自己を保ち、思考することが出来ていた俺も、かつての貧しくも幸せだった生活に戻るために計画に参加した。 計画の内容は至ってシンプルで、牢獄から実験場所に運ばれるときに黒ずくめの男達から車を奪うというだけ。 数はこちらの方が大幅に上回っているため、何人か犠牲になったとしても計画は成功し、メンバーの多くが幸せな日々に帰ることが出来る。 ・・・・・・・・・・・・そう、本気で思っていた。 しかし、蓋を開けてみると、車を奪い牢獄から逃げることは出来たが、その過程で計画に参加した半数が黒ずくめの男達に処理されてしまった。
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