偽り

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それでも、そいつらの分まで生きようと外の世界に出た俺達を待っていたのは家族や友人が向ける無数の銃口。 親しかった人間が、見たこともない狂気の笑みを浮かべながら、俺達の命を奪おうと迫ってくる現実に心が折れ、生き残りは片手の指で足りるほどまで減ってしまう。 命からがらなんとか逃げ延びるなか気付いた。 俺達の脱走計画も、黒ずくめの男達にとっては実験の一つに過ぎず、それ以外の人間にとっては合法的な殺人ゲームだったと。 『人間は他者より優位に立つことに快感を覚え、満足する生物だ』 『そんな本能を持っているのは、今の人類が進化の過程で他の人類の祖先になれる種を駆逐して生き残った1種族に過ぎないから』 実験を受けさせられ始めた頃に、黒ずくめから聞かされていた話を、死ぬ寸前に思い出すとは思わなかった。 「最低だな、人間は」 それが俺の人生最後の言葉。 殺したのはお互いに一番の愛情を向けていた恋人だった。 遠のく意識でふと思う。 自由や平和を尊ぶ一方で、お金や権力で上下を作る競争社会で今の人間は生きている。このまま協調することを建て前だけにしていたら、人類が滅ぶ原因はまず間違いなく自滅だろう。 それも、そう遠くない未来に・・・・・・・・・・・・。
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