始まりの紫似神さん

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大神(オオカミ)くんはとてもすごい方です。 高校2年生です。 身長は190を超えています。 喧嘩は強いです。俗にいう不良タイプかと思います。 学校内に敵う奴はいなくて、先生も大神くんの行動を見て見ぬふりをします。 頭がよいからでしょうか? 周りの男子はそんな大神くんを文字通り神のように称えてます。 そう、彼は神に等しい存在なのです。 「牛乳。10秒。間に合わなかったらお仕置きな」 大神くんはよく通る低い声で、一言。 教室の床に這いつくばってるわたしにお願いをします。 基本、神様からのお願いは毎日起こります。 「マジかよ。大神、ひでぇなあ。自販機まで5分はかかんのに」 お友達の不知火(シラヌイ)くんは薄く笑いながら、わたしを見下ろしました。 不知火くんは綺麗な銀色の長い髪をしています。 黒髪の大神くんと並ぶと白と黒。 反対色です。綺麗です。 ああ、そんな事考えてる場合じゃありませんでした。 「い、、いってきます!!」 わたしは立ち上がりました。 10秒。 希望がないわけじゃありません。 もしかしたら、地面に牛乳パックが落ちてるかもしれないし、通りすがりの人が牛乳を恵んてくれる可能性だってあるわけです。 無理難題ではないはずです。 「ダメ。お願いしてから10秒たったよ。紫似神(シニガミ)さん」 「いっっ」 髪を思い切り掴まれ、体制を崩したわたしはまたもや教室の床とご対面です。 「今日は簡単なお願いだったのに。残念だね」 …反論は出来ませんでした。 クラス中の皆はちらちらとわたしの今置かれた状況を楽しそうに見ています。 笑われても仕方ありません。 何故ならわたしがダメな人間だからです。 底辺の人間だから、大神くんには適わないし、クラスメイトにも笑われるです。 「罰として、明日はーー」 もうわたしの耳には何も入ってきません。 どうせまたいつもと変わらない罰だからです。 なぜ、こんな状態になってしまったのか。 わたしは三ヶ月前のことを思い出してみました。
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