Pre 彼の世界

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「イライザ―、いるー?」  アンジェは森の中心点。マナの湧き出る場所にいた。他のイライザのいそうな場所はほとんど探したが、どこにも彼女は見当たらなかった。他に思いつく場所がなくなってしまい、どうしようもないからここに来たのだった。  本来、この場所は人の立ち入るべき場所ではない。精霊たちの胎盤。神域と、人間の間では言い表されている場所だ。  恐る恐る足を進める。何だか、周りの雰囲気が変だ。うまく言えないけれど、間違いなく歓迎はされていない感じがする。さっきから色んな存在に見られてる気がするし…。前に来た時とは大違いだ。  アンジェは中心へ向かってゆっくりと進んでいった。あたりは薄暗くなってきたが、マナのおかげで視界は悪くない。だが、それでも危機感は拭えなかった。  マナの噴出点。森の中心へたどり着いた。おびただしいほどのマナが噴出している。ここまで来たのはアンジェにとって初めてのことだった。 「イライザー、いるー?」  声は帰ってこない。 彼もどうやらここは間違いだったと思い、帰ろうと振り返った。 「イライザはもういないよー」 「どっかいっちゃったんだってさー」 「えーうそー」 「可哀そうなイライザーだったねー」 「ねーアクマのせいでー」 「おい聞こえるぞ」 「どうせきこえないよアクマなんだから」 「でも、ほんとよくわかんないよなー、なんでアクマなんかと」 「イライザはかわってたから」  妖精同士の会話が聞こえた。アンジェの言語横断呪文はまだ生きていた。 「sfnuilb;ng;ms;ijr;e!!!!!mcswwwwjlofiu;pkp@ad@,emohgpa」 「alhfuweloijhtfacvcmwnfwcuw」 「pwkdpjals,;dkpklapo」 「ladb!!」  妖精たちは、アンジェが言葉を聞いていることは気づいていなかった。 「ofijaghhehgpe」  彼らの失敗はおそらく、詳細に話しすぎたことだろう。 「joihfufwe!!」 「joihfufwe!!」 「――!」  アンジェは駆け出した。たった今聞いた場所まで全力で。身体はすでに魔術で補強され、その身は矢と化している。
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