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サーキットにはいくつかの種類がある。まずは人間の神経回路としての魔術回路。これは生まれついてのもので、これによってその人物の魔術系統が決まってくる。血管などのような生体機関に強く結びついているためこれを変えることは非常に困難。次に物質の回路。人間と同じようにすべての物にはサーキットは存在している。それを組み合わせることであらゆる現象を再現できる。これは主に錬金術師の分野だね。次が世界の回路。いわゆるマナの流れのことだ。信じがたいがこの世界というものも生きているものなんだ。その大きな存在の流れ。それがマナなんだよ。理解できるかい?
「ぁいった!」
ベッドから転げ落ちた姿でアンジェは目覚めた。隣では、アラームの魔法仕掛けの時計が僕を起こそうと躍起になっている。
殴られたってことは、たぶん今回はレベル4くらいまでいったのかな?こいつ便利だけど何があっても起こそうとするからなぁ。
これ以上のレベル上昇を防ぐために、指定されたマナで時計に触れる。今日は月の日だから月のマナだ。よくできてるとは思うけど、全部のマナを扱えない人にとっては不便極まりないな、これ。
昨日の先生との授業を夢の中でもう一度学習してしまったようだった。いつもいつも覚えたくもないのにこんな風に夢の中で再生されるのは困ったものだ。たぶん、先生が何か呪文をかけてるに違いない。
時計を棚の上に戻すときに、彼の目に背表紙が移りこんだ。「ポールオン・ヴォーナが人間にもたらした栄光」「魔法言語学においての言語取得の概念」「魔術とは」などの本が彼の部屋の棚にはある。これらの本はヒュガンズ博士が彼に与えたもので彼個人の好みではなかった。そのため、本の難易度には著しい相違が見られた。
「こいつが諸悪の根源なんだよなぁ」
言いながら、ある本を手に取る。「ポールオン・ヴォーナ」この名前は人間だけじゃなくて、この世界の生き物全部にとって重要な意味を持つ名前だ。たぶん、ほとんどが悪い方にだけど。
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