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自信満々に言って見せるけど、前回のは間違いなく失敗だよ。僕は心の中で思い出を再生する。あの時、始めは庭の雑草をある一定の大きさまで成長したら爆発させる、なんていう良くわからない爆破機構を作ってるって言ってたのに、出来たのは指定された領域をある一定の尺度まで焼き尽くす代物だった。簡単に言うと丸焦げ。おかげで家の周辺は不毛地帯と化した。今でもまた呪文が誤作動起こすんじゃないかってびくびくしてる。解呪?できるわけないじゃん怖すぎだよ!もう、元気な時の先生の研究には本当に、本当に要注意だ。
「どうして、爆弾にこだわるのさ。錬金術なら他にも色々あるじゃない!金とか、不死とか。っていうか、爆弾専門にしてる錬金術師なんて先生以外僕しらないよ!」
粗野な男は指を立ててチッチッチ、と舌打ちをした。
「狭いな、世界が狭いな狭いぞアンジェ。この世界には爆弾という芸術に命をかける男たちがいる。命をすべてかけてるのさ!爆破っていうものにな!」
僕の知識の中に、先生の言葉に一字一句同じことをいった人がいる。本で読んだだけだけど、さ、それって
「それって、爆弾魔(ボマー)と同じじゃないか!」
割と大きめに心配して僕は口に出した。
「よく知ってるな、アンジェ。彼は研究者というよりは芸術家でありつづけたから俺とはかなり路線が違うが、まぁでもともかく錬金術師の心得っていうのはそういうもんだ」
だめだ、付き合うのが間違えてた。僕は先生との会話をあきらめて、食堂へ向かう。僕たち、こんな森の中に住んでるのも先生が何かしたからに違いない。元気な時の先生なら、ちょっととんでもないことをしでかしてそうだ。間違いなく。
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