ギャンブル

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あれっ?って思ったよ。 きっと周りの客も思ったとおもう。 チンピラはライターを置くだけ置いて、またフラフラと歩いて行った。 でも、一番あれっ?って思ったのはジイさんだろうね。 来たら自分の台にライターが置いてあるんだから。 台にはまだジイさんの玉が数発残ってたし、便所に立った数分の出来事だから、周りをキョロキョロ見渡してそのライターが誰の物か探してた。 そうしてしばらくしたら、チンピラが帰ってきた。 「おい、ジイさん、俺の台の前でなんか用か」 「いや……ちょっと用を足して帰ってきたら、俺の台にライターが……」 そんな会話を横で聞きながら、俺は自分の玉を追ってたよ。 え?助けてやれって? 3回目のリーチだから、そろそろフィーバーが来る頃で台から目を離せなかったんだよ。 二言三言、言い合っていた2人だったけど横からガンッと大きい音が聞こえた。どうやらチンピラが威嚇して椅子を蹴っ飛ばしたみたいだ。 神経通ってねえんじゃないかって思う程の無表情のジイさんに、チンピラは顎を前に突き出してメンチ切って言った。 「じゃあ、仕方ねえ。ジイさんにこの台売ってやるわ。さっき俺がつぎ込んだ金を払ってくれりゃあいい。1万入れたから、よこせよ」 こりゃとんでもないイチャモンだね。 フィーバーも来なかったし、聞いてて腹が立ったから、俺は声をかけた。
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