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「さっきからその台は、そのジイさんが打ってたよ。開店から俺はここに居るから、間違いない」
俺が言った途端、チンピラは体の向きを変えた。
ああん!?とか、なんとか言いながら俺を睨みつけてきたよ。
奴の後ろで心配そうに俺を見るジイさんが居たけど、俺が椅子から立ち上がるとジイさんも、そのチンピラも驚いた顔をした。
分かるだろ?
185センチの身長に、当時は全身筋肉で90キロ近くあったんだぜ?少年漫画じゃねえけど、一般人なら覇気だけでビビらせる事が出来た。
まさか俺がそんなデカいと思ってなかったみたいで、チンピラはジイさんをひと睨みしてから、舌打ちをして出て行った。
俺にわざとぶつかる様にしてチンピラは肩をいからせて歩いて行ったよ。途中で、気弱そうなパチンコ客の頭を叩いたりしながらね。
「ションベンする時は、ちゃんと台に印置いて行けよ」
俺がそう言うとジイさんは口の端を少し持ち上げて苦笑いをした。
この時、初めてジイさんとツラァ合わせたけど俺はどこか違和感を感じた。
今ならそれが何なのか分かるけど、当時は分からなかった。
その後はお互いに、普通に打ったさ。
人に親切にしてやったからか、この時は当たったね。
イチニチイチゼン、てやつだな。
またスッちまう前に適当に切り上げて裏の換金所に向かったら、もう帰ったと思ってたのにまだあのチンピラが居たんだ。
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