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「はい、麻生です」
娘さんだろうか?落ち着いた彼女の口調に、僕は慌てて言葉を返す。
「あっ、あの。学生課から紹介で伺いましたーー」
「沢村公平くんね?」
「はい……」
「ちょっと待っててね」
その言葉で電話が切れる。言葉の通りに彼女の姿が現れた。
僕から十メートル程離れている建物の右側。
右手にクラシカルな金属製の如雨露(じょうろ)。
鮮やかな水色の、短いTシャツにデニムのジーンズ。
布地のデッキシューズ。
庭の手入れをしていたのだろう、軍手を嵌めた手を僕に向けて小さく振っている。
要するに、極めてシンプルな装いなのに……華やかなのだ。
宝塚みたいな人だ……何故だかそう思ってしまう。
もちろん、僕は宝塚歌劇団の女性に会った事はないのだけれど。
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