山手213番館

11/34
前へ
/355ページ
次へ
なんと言うか、立ち姿が綺麗で……ぽかんとしている僕に、建物の正面まで歩いてきた彼女が手招きをする。 我に返り、バイクのスタンドを立て、芝生と白い敷石と、レトロなアパートと彼女の空間へ足を踏み入れる。 「こんにちは。学生課からの紹介で伺いました、沢村公平と言います」 小走りに駆け寄って告げる僕に、彼女がクスクスと笑う。 「聞いてるわよ。じゃあ、付いてきてくれるかな?」 やっぱり笑いながら、彼女がくるりと背中を向ける。 何だろうか?何だか妙な気分だ……何が、とは言えないのだけれど、妙なのだ。 少しの違和感を覚えるけれど、彼女の背中に従う。
/355ページ

最初のコメントを投稿しよう!

502人が本棚に入れています
本棚に追加