sommeliere

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結論から言えば、物凄く濃厚な一日だった。 疑問は幾らでもある。どうして、わざわざ槙村さんがあの話を聞かせたのか?だとか…… 時折感じた不自然な雰囲気もそうだ。 エシュゾーは、濃厚で豊潤でこの上なく美味しくて、思わず部屋に戻りネットで検索して目を疑った。 僕が就職しても、初任給ではとても足りない金額なのだ。 ユキさんのお父さんの話は出たけれど、相続した事を考えれば亡くなったのかもしれない。 もちろん、全てを聞かされる筈も無いし、聞く理由もなくて、ワインと美味しいお肉も食べさせて貰い満腹で幸せなのだ。 『だからね。月に一度のディナーは、私からのお礼なの』 ユキさんはそんな風に言った。瑠衣さんは、やっぱり駆け出しの料理人で毎月のディナーは料理を批評して貰う場所でもあるみたいだ。 結局、僕だけがおこぼれに預かる形になるのだろう。 何せ、僕の払う家賃ではグラス一杯のエシュゾーに遠く及ばないのだ。 ともあれ、山手213番館での一日はこんな風に終わった。
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