ワインとメッセージ

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「おはようございます」 槙村さんがリビングで新聞を広げている。キッチンには瑠衣さんが居て、何やら良い匂いが漂っていた。 槙村さんは眠そうな顔で、軽く僕に手を上げる。 「おはようございます。公平さんも食べませんか?二人分も三人分も同じですから」 甘えてしまって良いのか迷うけれど「ありがとうございます」そう言って、僕もキッチンへ向かった。 「気を遣わなくて良いのに」 笑いながら、てきぱきとサラダを盛り付けている。 どうやら出る幕はなさそうだけれど、瑠衣さんにお伺いを立てながら食器を並べたりしてみる。 「すいません。朝からご馳走になったりして」 もちろん普通の朝食だった。それでも、サラダは綺麗な彩りで盛り付けられている。 ベーコンもカリカリに焼けていて、スクランブルエッグの脇に斜めにスライスされたガーリックトーストが添えてある。 「良いのよ。今日から十日、お店もお休みだしね」 「えっ?そうなんですか?」 「うん、ユキさん出掛けちゃったし。フランスへ」 何だか、近所へ遊びに行ったみたいに瑠衣さんが言う。 「そうなんだ。この時期じゃ見るものも無さそうだけどね」 槙村さんも食卓テーブルに座り、そんな事を言う。可笑しな話だ。 フランスなのに見る物が無いって? 「行ってみたいですね。ルーブル美術館とか、モンサンミッシェルとか」 他にだって、ノートルダム大聖堂とかエッフェル塔だってある。 槙村さんは「ほぅ。普通……そうだよねぇ」と、感心して頷いた。 僕は何か可笑しな事を言ったのだろうか?
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