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「い、いらっしゃいませ」
僕はおずおずと、客の前に出て行った。顔から火が出そうなほど、恥ずかしい。
足元はスースーしてるし、でもウエストの辺りはキツくて苦しい。
唇はヌルヌルして気持ちが悪いし、目の上に何か乗ってるような違和感がある。
僕はクラスの女子を恨んだ。いや、その前に、文化祭のクラスの出し物に、男女逆転模擬喫茶なんて案を出した奴が恨めしい。そしてそれを面白がって通してしまったクラスメート全員に文句を言いたい。
……僕もその中の一人ではあるのだけど。
でもまさか、女子どもが男子の女体化に、こんなに気合いを入れてくるとは思わなかった。
どこから仕入れてきたのか、超ミニのメイド服に揃いのガードル。
ムダ毛は全部処理されて、自分の足じゃないみたいだ。
そして化粧。こんなに変わるものなんだと驚いた。眉をカットしてファンデーションを塗るだけでも違うのに、更に色んな色を塗って、極めつけは付け睫にウィッグ。
鏡に映る自分は、本当の女の子にしか見えない。
だから誰も僕だとは分からないだろうけど、それでもやっぱり恥ずかしかった。
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