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大河は、誰かに応援されることは支えになるし、応援があると頑張れると昔から思ってきた。ソラにも頑張った分「頑張ってよかった」と思ってほしいから自分なりにほめたはずだった。押せるだけ背中を押したつもりでいたのは、自分のエゴにすぎなかったのか。白い天井を見てもう一度ため息をついた。再び時計を見る。ベッドから出て伸びをした。
「さあて、ソラは起きたかなあ」
明るい独り言はさびしい。
大河は隣の部屋の扉の開く音がしないのに頷いて、そっと部屋を出た。
ソラが学校を休んで二日がたとうとしていた。
そして、ニーナがソラの声に反応しなくなってから、すでに三日が過ぎようとしていた。キーホルダーにアレンジされたソラのスズは、何事もないかのようにいつも通りソラのランドセルについている。
あれからというもの、これまでにソラがしていたように部屋でスズに向かって話しかけてもニーナが現れたり返事が来たりすることもなければ、ハコに巻き込まれることもなく、水泳のタイムもニーナが来る前のソラのタイムにもどっていた。もしかしたら帝国に何か用事があったのかもしれないと考えて、ソラは無理にニーナのことを考えるのを避けていた。学校も、リクに相談するかどうかで悩んだあげく、結局二日連続で学校を休んでしまった。父に気分が悪いと話すと、驚くほどすんなり欠席することを認められたのだ。もしかすると、スイミングスクールでソラがおなかが痛いと言って少し休憩した日のことが連絡されていたのかもしれない。
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