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薄い布団の中で丸くなって黄緑色の枕を抱える。
『ニーナを失ってしまうんじゃないかってスズ持ちの間ではいっときすごく噂になったの 』
ハナの言葉が何度もソラの頭の中をよぎった。
「……」
ーーニーナはでてこないんじゃなくて、いなくなってしまったなんてことは、ないよね?
ソラは、自分の水泳の能力が飛躍的にあがることはどうでもよかった。もうタイムがのびなくてもいいぐらいの気持ちでいた。
『悩んだそのたびに、背中を押して味方がいることを教えてくれる人がいるなんて、ニーナはとっても素敵だと思うの』
『ニーナはソラの味方だよ』
でも、心を落ち着かせてくれる優しい高音の声が、同じぐらいの年代なのにココロまるごと包んでくれるようなあたたかい笑顔が、もう二度と見られないのは、ソラは自分でも信じられないぐらいに嫌だった。それに、ハナが言っていたのを思い出す限りでは、ニーナを失うといううわさが出ていたのは帝国の庭での話であって、ソラとニーナは庭から出てきている。そう考えるとソラのニーナは、ハナの話にあったように帝国の庭で失った可能性は低いように感じた。
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