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さっきまでの緊張した顔はどこへやら、たちまち表情をころころかえて必死によくわからない心配をしてくるリクに、ソラは思わず笑ってしまう。これまで止まっていた時間が久しぶりに動いたかのような、そんな感覚だった。声をあげて笑うソラを見て安心したのか、ハナもくすりと笑って会話に入る。
「要するに、もうめちゃくちゃ心配だったってことよ。
リクったら、ニコラス君が学校休んでまだ三日しかたっていないのにもう落ち着きないぐらいに心配して、ご飯の時もお風呂の時も、寝る前もひたすらニコラス君の話ばっかり。しかも、わけわからないちょっとずれた心配ばかりするんだからもうおかしくて」
「わっ、もう姉ちゃんやめろよその話は! だれだって友達が学校休んだら心配するだろーが」
手元にあった猫の顔の形をしたクッションを抱えて二人に背中を向けるリク。リクにとってソラは、はじめてのスズ持ちでもある友達だ。心を許せる相手が不調になってしまったことに、つい敏感になってしまったのだろう。ソラはリクを、とても特別な友達だと思っていたが、それはソラだけではなかったらしい。
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