1910人が本棚に入れています
本棚に追加
千本鳥居の道を歩いて抜けると、命婦谷(ミョウブダニ)に出る。
そこにある奥社奉拝所(オクシャホウハイジョ)の真っ赤な色が、角膜を刺激する。
そしてその奥にある石灯籠が今回のお目当て。
「おもかる石…」
2つある石灯籠の上に、それぞれ赤ん坊の頭位の大きさの石が置いてある。
“願いが叶うかどうかわかる石”。
巷ではそう謳われているらしい。
持ち上げた時、石が軽ければ願いが叶う。
重ければ、叶う日が遠退く。
夜神にそれを言ったら、全く信じていないような顔をされた。
でもオレ、こういうの信じちゃうんだよなぁ。
「たかが石っころに、自分の人生左右されんのかよ。」
「別に左右されるんじゃないだろ。ただ願い事が叶うかどうかわかるってだけで。」
「石なんかでわかるより、わからねぇまま叶うまで努力した方が努力し甲斐があるだろ。」
…澄ました顔でキザなこと言いやがって。
いいじゃないか、別に。
たとえただの石ころだろうと、夢を見る位のことは許される。
最初のコメントを投稿しよう!