1909人が本棚に入れています
本棚に追加
耳を疑った。
まさかアキの口から、そんな言葉が聞けるなんて、思っていなかったから。
大切だから。だから危険なことに巻き込まないように、俺から身を引くのが本当はよかったんだろうけど。
アキのあの言葉を聞いて、やっぱり離れるのは無理だと痛感した。
ずっと前から、欲しくて、欲しくて。
アキが俺のことをどう思っているのか、本当は気になって仕方なくて、でも知るのが怖かった。
それは今でも変わらないけれど、あの言葉が、俺がアキの傍にいることを赦したのだ。
『夜神。』
あの声が俺の名前を呼ぶたび、思いきり抱きしめて、飽きられるくらいキスしてやりたい衝動に駆られる。
なんて言ったら、ドン引きされるだろうけど。
ピンポーン。
布団に潜ってウトウトしていると、不意に玄関のチャイムが鳴らされた。
起き上がるのも億劫で、無視していると、再度鳴らされた。
しかも立て続けに2回も。
「………チッ。」
このまま無視していても、何度も鳴らしてくるだろう。
そう悟った俺は、苛立ちながら起き上がり、玄関へ向かった。
最初のコメントを投稿しよう!