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オレの背後から聞こえた、聞き慣れた不機嫌そうな低音に、反射的に身体がびくついた。
いつの間にか夜神が戻ってきていた。
『どうかしたのか』じゃなくて『何か用か?』と訊いてくるあたり、相変わらず他人への警戒心はハンパない。
オレがこの目の前にいる集団に絡まれているのを見て、その警戒心が剥き出しになっていた。
…絡まれて、というのは語弊があるか。
「…君の連れ?」
柊聖さんが微笑んだまま訊ねた。
連れ…と言えば連れだけど、今ここでそれを言うのは恥ずかしい。
周りの目もあるし。
彼の仲間達、そして瑶子さんも興味津々といった様子だ。
「アキに何の用だ。」
柊聖さんの問いに答えることなく、逆に夜神が訊き返した。
さっきと同じ問いで。
「ごめんね。うちのが彼に対して粗相をしたんで、謝ってたところなんだ。」
「…粗相?」
「ちょっとぶつかっただけだから! 別にオレはそこまで被害受けたワケじゃないし!」
元々不穏な空気を纏っていた夜神が、更に不穏になったのを察して、オレは焦って訂正した。
事を荒立てて余計な争いに発展させたくない。
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