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「アキ、行くぞ。」
興味をなくしたのか、夜神がオレの手を引いて踵を返した。
心なしかオレの手を掴む力が強い。
「───待って。」
不意にオレのもう片方の手が掴まれる。
「俺のこと、覚えておいてね。」
「え───?」
柊聖さんの言葉の真意がわからずに戸惑う。
今会ったばかりで、この先会うこともないのに、何故そんなことを言うのか。
意味がわからずただ柊聖さんを凝視する。
「覚えねぇよ。すぐ忘れる。」
夜神の苛立った声にハッとして振り向くと、夜神が険しい顔で柊聖さんを見ていた。
敵意剥き出し。
オイオイ、神聖な場所で喧嘩とか勘弁してくれ…
「や、夜神、行こう?」
「………」
オレの催促に夜神は答えず、しかし再びオレの手を引いて歩きだした。
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