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「ごめん。俺のせいだな。」
「…!」
今まさに思っていたことを言われた。
あれだけ警戒心丸出しの態度を取られたんだ。
誰だって察しがつくよな。
「ちょっと話さない?」
「俺も喧嘩したことあったよ。同性の恋人と。」
「………」
「些細なきっかけだったんだけど。あの時なんであんな意地張っちまったんだろうなって思うよ。」
1階ロビーの隅にある自販機の前の傍にあるベンチに2人並んで腰掛け、購入したお茶を啜る。
柊聖さんはぽつりぽつりと話してくれた。
「俺ってこう見えてお人好しなんだよ。だから誰にでも優しくしちまってさ…恋人はそれが気に入らなかったらしくて。誰にでも優しくするなって怒られた。」
柊聖さんは自嘲気味に言って笑った。
「その時の俺は、そんなこと言われる意味がわからなくて。お前以外の奴に冷たくするのは無理だって言い返したんだ。そしたら……泣いた。」
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