ドキドキ?旅行しよう!

69/76
前へ
/220ページ
次へ
スイッ、と親指が目尻を滑った。 涙を拭うような仕草に、オレは首を傾げる。 「泣くな。」 「泣いてねーじゃん。」 「ああ。でも、泣きそうな顔してる。」 「誰のせいだと思ってんの?」 「…俺だな。」 わかってんのかよ。 オレが悲しむってわかってて、話しかけても無視してたのかよ。 むかつく。 ほんと、むかつくよ、お前。 あー…やっぱ、無理。 泣くかって思ってたけど、勝手にボロボロ溢れてくるんだもん。 どうしようもないじゃん。 「お前、ほんとむかつく。」 「…ん。」 「人を無理矢理恋人にしといて、我が儘だし、独占欲すげー強いし。オレの意思無視で強引に事を進めるし。何なんだよ、ほんとに。」 「ん。」 「今は違うとは言え、不良なんか…嫌いなんだよ。なのに…………お前のこと、嫌いになれないのが、余計むかつく。」 次から次へと溢れてくる想い。 朝っぱらから何言ってんのオレ。 人に見られてるかもしれないのに、本当何言ってんだ。 オレも夜神のこと言えないじゃん。 「アキ。」
/220ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1910人が本棚に入れています
本棚に追加