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スイッ、と親指が目尻を滑った。
涙を拭うような仕草に、オレは首を傾げる。
「泣くな。」
「泣いてねーじゃん。」
「ああ。でも、泣きそうな顔してる。」
「誰のせいだと思ってんの?」
「…俺だな。」
わかってんのかよ。
オレが悲しむってわかってて、話しかけても無視してたのかよ。
むかつく。
ほんと、むかつくよ、お前。
あー…やっぱ、無理。
泣くかって思ってたけど、勝手にボロボロ溢れてくるんだもん。
どうしようもないじゃん。
「お前、ほんとむかつく。」
「…ん。」
「人を無理矢理恋人にしといて、我が儘だし、独占欲すげー強いし。オレの意思無視で強引に事を進めるし。何なんだよ、ほんとに。」
「ん。」
「今は違うとは言え、不良なんか…嫌いなんだよ。なのに…………お前のこと、嫌いになれないのが、余計むかつく。」
次から次へと溢れてくる想い。
朝っぱらから何言ってんのオレ。
人に見られてるかもしれないのに、本当何言ってんだ。
オレも夜神のこと言えないじゃん。
「アキ。」
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