1910人が本棚に入れています
本棚に追加
「あたしの高校の時の友達が結婚するっぽい。」
「友達? え、タメだよね? 大学生?」
「ううん、社会人。高卒で働いてんの。」
「へぇ~マジ?」
講義が始まる数分前に、後ろの席からそんな会話が聞こえてきた。
“高卒”で“結婚”。
今時あまり珍しくもないフレーズだ。
木曜日の、午前中最後の講義。
学科必修の科目。夜神には関係のない講義だから、受講するのはオレだけ。
夜神はこの時間は別の科目を履修している。
広くもなく狭くもない広さの教室だし、教壇からは学生全員の顔を見渡せる。
だから、履修していない人間が途中から潜り込むとすぐにバレるのだ。
…まぁ、履修していなくても、受講したくてわざわざ教室に来る学生に対して、教授も悪い気はしないと思うけど。
夜神と再会して、早1年。
気づけばオレは、3年生になっていた。
最初のコメントを投稿しよう!