目に見える証

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「────アキ。」 誰かが呼んでる。 「───アキ。」 オレの好きな声だ。 「アキ、そこで寝ると風邪引く。」 うるさいな、オレは眠い。 「…起きねぇと、このまま犯すぞ?」 おかす? そーかよ、おかすのか………… 「っっ!!!」 「起きたかよ。」 思わずスルーしそうになった聞き捨てならない台詞に、オレは一気に覚醒した。 ガバッと身を起こすと、 ガッ── 「いッ───!?」 頭に、いや厳密には額に衝撃と激痛が走った。 「~~~~~~ッ」 「…ってぇ…」 頭割れるかと思った… マジでいてぇ… 「アキ…せっかく起こしてやったのに頭突きたぁ、結構なご褒美だな?」 「ご、ごめ……っていうかお前もなんでオレの上に乗っかってんだよ。」 頭突きしてしまったことは悪いと認めるが、その前に今のこの体勢に疑問がある。 ソファーに横になっているオレに覆い被さるようにして、夜神もソファーの上に乗っているのだ。 何?コレ。 「アキがどうしても起きねぇってんなら、そのまま襲っちまおうと思って?」 「ふざけんな、オレは疲れてんのに。」 「俺も疲れてる。疲れた身体には気持ちイイコトが必要だろ?」 「いや意味わかんないから!」 余計疲れるわ! …気持ちイイけど! そこは否定しないけど!
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