目に見える証

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「珍しいな。」 「何が?」 ソファーからどいた夜神が、ポツリと言った。 「アキがソファーで寝るの。いつもは俺が寝ててアキに怒られんのに。」 「…まぁ、そういう時もあるってことだろ。」 濁すような言い方になる。 後ろめたいことがあるワケでもないのに。 強いて言うなら、将来のことで悩んで悩んで悩みまくって、頭パンク寸前で寝オチ。 ってとこかな。 風呂も入らずベッドにも行かず、ソファーで寝オチとは確かにオレらしくない。 テーブルに散らばるダイレクトメールの数々───あの婚活情報誌のもある───を一纏めにして、ゴミ箱に捨てた。 風呂入らなきゃ。
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