目に見える証

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「っ、~~~~~~ッ」 声にならない呻きが漏れる。 今まで何度も味わってきた感覚でもう慣れているけれど、快感に跳ねる身体が説得力を無くす。 背後から抱きすくめられ、隙間もないくらい密着して、夜神の熱を埋め込まれた。 浴室の鏡には、快感でだらしなく歪む自分の顔。 そして、オレを抱きしめ攻め立てる夜神の、余裕の無い顔。 「アキ、アキ…」 「う、んんッ……ア…!」 「アキ、ヤバイ。気持ちイイ…」 耳の裏にキスを落とし、夜神は色気を纏った低音でそう囁いた。 ゾクゾク、と全身の肌が粟立つ。 「…っ、アキ、俺の声、好きだろ。」 「な、にっ…」 「知らなかったか? 俺が何か言うたびに、アンタのココ、スゲー締まるんだよ。」 「なんっ…!? 知るか、そんなもん…!」 あまりに恥ずかしいことを暴露され、霧散しかけていた理性が少しだけ戻ってくる。 そりゃ、夜神の声はものすごく心地好いし、好きだけど。 今この状況でそれを言われると、生々しすぎて、恥ずかしすぎて軽く死ねる。 「───アキ、好きだ。」 「ア、あああ────……っっ」 「好きだ……ずっと好きだ。死んでも、俺はアンタだけを好きだ。」 出会ってから幾度も聞かされてきた愛情。 オレが余計なことを考えたりしたからだろうか。 湯気で溢れる浴室でオレを抱きながら夜神が口にしたその言葉が、切なく響いた気がした。
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