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2人と別れて、家路を急ぐ。
大学からアパートまでは、ちょっとした繁華街がある。
色々な店が軒を連ねる中に、風俗とかホストクラブとかもあるから、正直あまり好きじゃない。
だけどここを通るのがアパートまでの最短ルートなのだ。
特に急ぐ理由もないけれど、やっぱり早く帰れるに越したことはない。
早足で繁華街を歩いていると、ある光景に目が留まり、オレは歩みを止めた。
「夜神…?」
オレの視線の数十メートル先には、紛れもなく夜神の姿。
でも、それだけじゃない。
「誰…?」
夜神の隣には、オレじゃない人間。
しかも、女の子。
しかも、結構可愛い。
お互い手が触れる距離。
呆然と見ていると、不意に夜神がその子の手を引いた。
ギョッとして見ていると、どうやら自転車が前方から猛スピードで走ってきていたようで、夜神はそれを避けさせようとしたようだ。
…なのに。
状況を理解しても、その光景は心に容赦なく突き刺さった。
だんだん小さくなる2人の後ろ姿。
オレが立ち尽くして見つめることしかできない中、2人はそのまま居酒屋に入っていった。
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