目に見える証

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暫く呆然としていた。 ぶつかってきた見知らぬ通行人のおかげで漸く我に返っても、先程見た光景が脳裏に焼き付いたまま消えない。 ふらふらと歩を進め、2人が入った居酒屋の看板を見る。 『個室居酒屋』 その文字が、あの2人の後ろ姿を余計にリアルなものにする。 確かに夜神からは帰りが遅くなるから夕飯は要らないと連絡は来た。 でも、女の子と2人で? しかも個室居酒屋? …いやいやいやいや、それだけで怪しいと疑うのは良くない。 もしかしたら、他にもメンバーがいるのかもしれない。 夜神たちが遅れて入っていっただけかもしれない。 そう。そうに決まってる。 夜神は浮気をするような奴じゃない。 そもそも夜神は馬鹿みたいにオレ一筋だ。 …自分で言うのも恥ずかしいけど。
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