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夜神が焦ったようにオレを呼び、オレの手首を掴んだ。
その表情も、僅かに焦燥が滲んでいる。
「アキ…何かあったのか?」
「別に何も…」
「何もなワケねぇだろ。いきなり俺を拒否りやがって。」
夜神の声に、若干の苛立ちが混じるのがわかった。
誰だって、いきなりオレみたいな態度を取られたら苛つくだろうな。
夜神は鋭い目でオレを見つめてくる。
重苦しい沈黙。
正常な呼吸すらままならなくなる程、重い。
「…夜神が…」
「…俺?」
これ以上この沈黙に耐えていられる自信がなかったオレは、重い口を開いた。
「さっき……夜神が女の子と居酒屋に入ってくの、見た……」
「!」
夜神は驚いた顔をして、オレの手首を解放した。
それからすぐに気まずげな顔になった。
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