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「安モンだけどな……本当はもっと高価でなイイ物にしたかったけど、学生の俺にはこれが精一杯だ。」
「…っ、」
「けど─────俺の精一杯の、アンタへの気持ちだ。俺の気持ちも、人生も全部、アンタにやる。」
「あ……」
「だから、アキ…………、
アンタの気持ちも人生も、全部、俺にくれ。」
そう言って夜神は、オレの掌の上にもう1つリングを乗せた。
「アキ、嵌めてくれねぇか?」
「…っ、う、ん…」
震える指でリングを掴む。
震えすぎて、リングを落としそうになりながらも、なんとか嵌めた。
それを見た夜神は、嬉しそうに微笑んだ。
「なぁ…アキ?」
「なに……?」
「俺たちは男同士だ。外国みてぇに法律上結婚することはできねぇし、だからって外国に行くこともできねぇ。」
「………」
「前に、婚活の情報誌か何かのダイレクトメールがウチに届いてるのを見て、正直俺も不安になった。ずっと一緒にいるっつっても、口先だけじゃどうにもなんねぇこともある。やっぱり、目に見える証が必要だと思った。」
「目に見える、証…?」
「そう。コレ。」
夜神は薬指で輝くリングを見せた。
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